発達障害の可能性のある児童生徒等に対する
教科指導法研究事業

④算数・数学における「志導」に関する教授法(5)

★ 対象とした学習上のつまずくポイント5(A 数と式)

 中学数学で学ぶ「正の数・負の数の四則演算」では、学習上つまずく生徒が多い。特に、正の数×負の数、負の数×正の数、負の数×負の数において、答えの正負が異なる事態を、うまく認知的に処理ができない傾向にある。

★ 上記に対する取組内容5(A 数と式)

 「正の数・負の数の四則演算」の乗法において、負の数を書けるという意味を体感的に理解する方法を用いる。一般的には、気温や貯金等を例として用いるが、状態が変化する日常的な事態を想定した方が、わかりやすいと感じやすいようである。具体的には、「水をためた風呂桶から、毎秒2ℓの水を抜いている。記録を始めた時の水位を、『基準量(0ℓ)』とした場合、1秒後、2秒後・・・の水位は何ℓか」「記録を始めたのが、水を抜き始めてから5秒後であったことがわかった。抜き始めた時の水位は何ℓか」という問題が考えられる。これらの問題を通して、負の数が減少を表すとともに、時間を遡って答えを導く方法であることを理解すると、解答の正負がわかるようになる。

 なお、継次処理型学習者は、パターンが明記されている場合にはそれを順番に当てはめて計算を実行することが可能である。そのため、正(+)×正(+)=正(+)、正(+)×負(-)=負(-)、負(-)×正(+)=負(-)、負(-)×負(-)=正(+)というパターンを書いたヒントカードを教材として渡すことでも、計算を実行することが可能になる。