発達障害の可能性のある児童生徒等に対する
教科指導法研究事業

④算数・数学における「志導」に関する教授法(3)

★ 対象とした学習上のつまずくポイント3(A 数と計算)

 筆算の学習において、計算ミスが多い。

★ 上記に対する取組内容3(A 数と計算)

 筆算は、数字を上下に重ねて書いて計算する方法であることから、全般的には空間的な認知処理を必要とし、同時処理型学習法といえる。そのため、継次処理型学習者は学習上のつまずきを感じやすい。継次処理型学習者は、数の合成と分解(加数分解、被加数分解、減々法、減加法等)を用いて計算をする方法を好むことが多い。実際、愛媛大学で教科の「志導」を担当する児童生徒の中には、筆算で計算を求める問題・課題であっても、数の合成と分解を用いて計算し、得た答えを筆算で解いたように解答用紙に書くという対処を行う子もいる。ただし、筆算という方法・手順を習得することを目的とする場合、図10(a)に示すような、ヒントカードを用意し、言語的な指示に従い、順番に処理することで計算ができる方法を促す。

  
(a) 継次処理型学習法
(b) 同時処理型学習法
図10 筆算のつまずきに関わる学習法の例

 同時処理型学習者は、空間的処理が得意であることから、筆算は比較的理解しやすい計算方法のようである。しかし、学習初期の頃は、手順がわからなかったり、桁を間違えたりすることはある。そのため、同じく図10(b)に示すようなヒントカードと問題シートを用いて、手順の習熟を促す。