発達障害の可能性のある児童生徒等に対する
教科指導法研究事業

②社会における「志導」に関する教授法(1)

★ 対象とした学習上のつまずくポイント:

歴史上の人物の名前や、社会科に関する重要語句の暗記・理解が他の生徒と比べて時間を要する。あるいは暗記・理解が十分に行うことが困難である。

★ 上記に対する取組内容:

これらの症状を呈する障害としても「発達性ディスレクシア、特異的読字障害」等が考えられる。国語で指摘したことと同様、教育現場において、内容を理解できていなかったり、テストにおいて十分な点数が採れていなかったりした場合には、教職員・保護者から「本人のやる気がない/十分に学習をしていないから」といった解釈がされてしまう恐れがある。加えて、具体的なイメージをもつことが困難である歴史上の人物や、地理や公民に関わる重要語句の暗記・理解が得意ではない児童生徒に対し、「繰り返し学習・練習をすれば覚えられる」といった一方的な指導では、学習性無気力等の二次障害を促す可能性もある。

A) ワークシートを用いた支援:

読み書きにつまずきがあることで、歴史の学習にも影響が及ぶ児童生徒の場合、読み書きにつまずきのない児童生徒に比べて、授業における記録(黒板に記載された内容をノートに書き写す行為)にかかる時間が有意に長い。つまり、書き写すまでに非常に長い時間を要する。書き写しに時間がかかる要因は多様である。短期記憶が苦手なために、黒板に記載された内容を見て記憶するが、ノートに視線を移す間に忘却してしまい、黒板とノートの間で視線を往復させなければならないことに起因する場合もあれば、文字の形を的確に把握できず、意味のある形(文字)として模写できないために時間がかかる場合もある。いずれにしろ、模写に時間を要しては、内容を理解する余裕がなくなってしまう。そのため、書き写す量を少なくする教材を用いることで、本人の苦手意識を提言することが重要である。具体的には、ワークシート(穴あき問題)形式のプリントを配布し、重要な用語のみを模写する、もしくは選択肢の中から記号で選択するよう伝えることで、本人は内容の理解に焦点を当てることができるようになる。