発達障害の可能性のある児童生徒等に対する
教科指導法研究事業

④算数・数学における「志導」に関する教授法(2)

★ 対象とした学習上のつまずくポイント2(A 数と計算)

 かけ算の習得につまずきがある。暗唱はできるが、ドリル等の問題では誤答が多い。または、暗唱できない行があるが、ドリル等の問題では正答がみられる。

★ 上記に対する取組内容2(A 数と計算)

 かけ算を学習する場合、暗唱が用いられる場合が多い。暗唱用の歌も考案されている。一方、暗唱は、言語・音韻処理によるものであり、継次処理型学習法と考えることができる。したがって、言語処理型学習者や継次処理型学習者にとっては、認知特性に適合した学習法であるといえる。ただし、視覚的な情報(数字等)との対応づけることにつまずきを感じる児童もいる。その場合には、本人が得意な暗唱から導入しつつ、数字と音韻を併記した単語カード等を用いて、音声情報と文字情報を連結する工夫をする場合もある(図9(a)参照)。

 反対に、同時処理型学習者は、視覚的・空間的処理を得意とすることから、暗唱につまずきを感じる事例が少なからず存在する。その場合、図9の(b)(c)に示す通り、九九表を用いながら、得意な同時処理を用いて学習を促す。

(a) 継次処理型学習法
(b) 同時処理型学習法1
(c) 同時処理型学習法2
図9 かけ算のつまずきに関わる学習法の例