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愛媛大学教育学部苅田研究室

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事業概要

背景と目的

 特別支援教育を取り巻く現況、及び課題として、①特別支援学校に在籍する幼児児童生徒数が増加を続けていること、②特別支援学校に在籍する幼児児童生徒の障害は重度重複化していること、③特に医療的ケアをはじめとして保健医療福祉領域と密接に連携しつつ指導・支援を行う必要がある事例が増えていることなどが、挙げられます。また、④小中学校の通常の学級、特別支援学級に在籍する児童生徒も多様化していること、⑤高等学校においても通級による指導が開始されたこと等、これまでの特別支援教育の枠組を拡充するとともに、対応する教員の専門性を更に向上させる必要が高まっています。
 こうした背景のもと、令和2年度から順次実施される新しい特別支援学校指導要領等(幼稚部、小学部・中学部)の円滑な実施に向け、教育課程編成や指導方法の工夫改善についての先導的な実践研究を行い、その成果を全国の特別支援学校へ普及していく必要性から、文部科学省は平成29年度より「次期学習指導要領に向けた実践研究」事業を開始しました。本事業は、「児童生徒」に対して行う新しい特別支援学校学習指導要領を念頭においた指導方法等に関する研究を目的としています。委託を受けた団体は、特別支援学校の中から単一または複数の学校を、実践研究を行う「研究協力校」として指定し、モデル事業を行っています。
 現在、それぞれのモデル事業については、事業の報告や成果公開が行われていますが、これら各モデル事業の成果に関する体系的な整理や全体を俯瞰した考察は十分になされているとはいえない現状にあります。そこで本研究では、各モデル事業全体を俯瞰するため、平成29年度は5つの観点、平成30年度は6つの観点を設定し、これらの観点・項目に基づいた体系的な整理を行うことを目的としました。本調査は、平成29年度、平成30年度における各実施団体の取組に焦点を当てています。新しい学習指導要領に対応した多種多様な教育実践や指導方法の工夫改善の取り組みを体系的に整理することは、他の特別支援学校や小中学校の特別支援学級における教育実践を検討するうえで、参考となる有益な作業です。また、本研究の成果を広く普及・推進することで、特別支援教育全体の質向上にもつながると考えられます。

調査の概要

 本研究課題を達成するため、平成29年度は13団体、平成30年度は22団体の研究協力校に調査協力を依頼し、本研究で設定した5つの観点及び6つの観点を中心に調査を行いました。