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愛媛大学教育学部苅田研究室

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事業概要

背景と目的

 小学校等教諭の特別支援教育に関する理解を増進する上で、小学校等教職課程における学修の充実は重要な課題です。特別支援教育を取り巻く現況及び課題として、①幼稚園等や小中学校の通常学級に在籍する幼児児童生徒も多様化していること、②特別支援学級に在籍する幼児児童生徒数が増加傾向にあること、③特別支援学級に在籍する幼児児童生徒の障害が重複化していること、④医療的ケアをはじめとして保健医療福祉領域と密接に連携しつつ指導・支援を行う必要がある事例が増えていること、⑤障害はないが特別な教育的ニーズのある幼児児童生徒(日本語を母国語としない幼児児童生徒、貧困等の家庭上の事情により十分な学習機会が確保されていない幼児児童生徒)等が挙げられています。また、⑥高等学校においても通級による指導が開始されたこと等、これまでの特別支援教育の枠組を拡充するとともに、全ての教員に特別支援教育に関する専門性が求められています。
 小学校等教職課程においては、平成28年の教職職員免許法の改正により、「特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解」1単位以上の履修が必修化されており、教員養成課程を有する大学においては、それぞれに新しい小学校等教職課程が編成・実施されています。しかし、当該の必修科目の取組内容は各大学の判断に委ねられており、試行的に取り組んでいる大学、理論を中心に構成している大学も少なくないと思われます。教育現場において、小学校等教諭の、多様な特別の支援を必要とする幼児児童生徒に対する理解・支援・指導を増進するためには、当該の必修科目に関して、特色があり質の高い取り組み(Good Practice: GP)について情報共有し、授業改善につなげる必要があります。
 そこで本研究では、①小学校等教職課程を設置している大学に対し、「特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解」等、必修科目として開講されている講義に関するWebアンケート調査を行い、教職課程における特別支援教育に関する内容の取扱いについて全国的な状況を把握します。②前述の調査で得られた回答の中から、特色ある取り組み(GP)を実施している大学20拠点程度を選定し、より詳細な情報を収集するためにヒアリング調査(Zoom等のオンライン会議システムを使用)を行います。これらの調査結果を包括的に分析した上で、俯瞰的・総合的考察を加えることを目的としました。

調査の概要

 本研究課題を行うにあたり、「特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解」等の必修科目に関する8つの観点を設定し(「調査観点」をご参照ください)、それらの観点を中心にWebアンケート調査、およびヒアリング調査を行いました。