学習上の支援機器等活用評価研究事業

3.指定校での取り組み成果

3-1.2018年度の取り組み成果

研究指定校3校(公立A小学校・私立B中学校・私立C高等学校)の対象児童生徒に対して,支援機器等教材の活用による学習効果の分析・評価を行いました。また,教職員だけでなく,障害のない児童生徒に対し,支援機器等教材の活用が合理的配慮及び指導上必要であることを理解してもらう研究も行いました。

1)公立A小学校での実践研究

対象児童の様子と支援機器等教材の選定・活用(詳細はクリック)
 【対象児童の様子】

・学習の遅れは見られないものの,「板書が取れない」「感想文を一人で完成することが難しい」「テストの際,枠内に文字を書くことが難しい」 状況でした。そのため,授業中ぼーっとしていることが多く,教員の言葉がけが頻繁に必要でした。

教材選定・活用(表1-1参照)

・読み書きの負担を軽減させ,自分の力で学習を進めることができることを目的として教材選定・活用を行いました。

教職員やクラスメイト等への理解啓発】

・大学教員による教職員対象のiPad体験型研修,及び大学専門スタッフによる児童対象のiPad体験型授業を行いました。

・公立A小学校では,支援機器等教材アドバイザー(以下,指導員)が,教員の補助(アシスタント・ティーチャー)として学級に入り,対象児の支援機器等教材の活用について支援を行いました。また指導員がいる時には,対象児用だけではなくクラスメイト全員に対してiPadを用意し,学校の協力の下,授業中に対象児童が使って良かったアプリ(ロイロノート1)を使用して学習することを促しました。

・その結果,クラスメイトの中には,「また使いたい、家で使おう」など継続的に利用したいとの要望が挙がりました。これらの介入により,対象児本人は,作文や感想を書くときには家庭だけでなく学校でもiPadを使ってみようという意識を持つことができました。iPadを学校で使用することへの抵抗感が少なくなり,支援機器を能動的に活用するための環境が整いました。更に,教職員やクラスメイトが支援機器の活用方法理解したことで,教職員間の同意が得られ,学校で支援機器が活用できるように,主体的に基礎的環境整備が行われるようになりました。

 

表1-1 対象児童が使用した教材による活用方法及びその学習効果(公立A小学校)

教材選定 教材活用 学校での合理的配慮の提供 学習効果
iPad:カメラ
 ・ノート作成
 ・授業中の集中継続
 教員がiPadで板書を撮影し,必要があれば印刷したものをノートに貼るようにした。また,他の児童でも必要な場合には同じ印刷物を提供することとした。 ・書くことへの負担が減り,聞くことに集中できるようになったため,対象児童は授業内容や教員からの指示を以前よりも理解できるようになった。
iPad:アプリ
ロイロノート1
 ・感想文・作文等の作成

(注) 学校で使用する前に,支援機器等教材アドバイザーから使い方を学び,家庭でも練習をし,児童自身が必要性を感じ,一人で活用できるようにしている。

 学校では,大学教員による教職員対象のiPad体験型 研修,及び大学専門スタッフによる児童対象のiPad体験型授業を行なった。

・長い文章を一人で組み立てることが出来るようになり,学校の宿題の感想文や作文を一人で完成させることができるようになった。
・対象児童は,クラスの中でロイロノートを使用することに対して否定的であったが,体験型授業を機に,学校内でも使ってみようという気持ちに変化した。また,対象生徒がクラスメイトに対して教えてあげる場面も多く見られ,自信に繋がった
マス目補助具
 ・枠に応じた文字の記述  テストの際,マス目補助具を使って回答した。 ・枠内からはみ出さず,最後まで文字を書ききることができた。

(注釈 1  文字や写真などを使ってスライドを作成し繋げたり並び替えたりするアプリ)

2)私立B中学校での実践研究

対象生徒の様子と支援機器等教材の選定・活用(詳細はクリック)
【対象生徒の様子】

・小学5年生の時から支援機器教材等の選定・適用に本学教職員が携わっていました。小学校では,iPad(撮影した写真の拡大),学習補助具(リーディングルーラー)を使用していました。また家庭では,学習支援アプリ(ロイロノート,マインドマップ2,Quizlet3)を活用して学習の定着を図っていました。
・しかし,中学生になり, 生徒自身が,学校で他の生徒と異なる学習方法に違和感を覚え,学校の中で支援機器等教材を使用しない状態が続いていました。iPadを使うタイミングが判断できないため,授業中はノートを写すことに必死になり,説明を聞くことができず理解できないことや,板書を間違えて書き写すことが多く正確な理解には繋がらない状態でした。また,帰宅後は疲れて何もできなくなるといった状況も続いていました。

教材選定・活用(表1-2参照)

・板書や教科書,配布プリントの見えにくさ,書くことへの負担感による学習意欲の低下(学習性無気力)を改善することを目的として実践研究を行いました。

教職員やクラスメイト等への理解啓発】

・中学入学時に,対象生徒が,教員および所属学年全体に対して,中学校に進学後も継続して支援機器等教材が使えるように,iPadの使用が自分にとって合理的配慮であり,使用することは権利であることを説明しました。

・私立B中学校では,対象生徒も保護者も,学校の教員も,対象生徒に読み書きがあることや,認知特性に応じてiPadを活用することが必要であることは理解していました。新学期に自ら学年全体の生徒に対して,iPad等の支援機器等教材の使用について理解と合意を得ることができ,対象生徒に対してiPadを使用することに否定的な反応をする生徒はいませんでした。しかし,自分にとって支援機器等教材の活用が必要であることは理解しているものの,中学で環境が大きく変わったこと(新しいクラスメイト,教科担任制など)で,どういうタイミングで使用すれば良いのか分からなくなっていました。指導員が学級に入り,対象生徒の支援機器等教材の活用について支援を行い,最終的には生徒一人でiPadを活用する機会が増えました。主体的に判断できていない場面が多く,授業場面での活用には人的支援が必要であったと言えます。

・更に,学校では,学内全体に対して,読み書きの負担を軽減するための基礎的環境整備(書く量を調整する,授業で使用した情報をデータや印刷して生徒に渡す等)が整えられました。そのため,対象生徒自身がiPadを活用する機会が減り,「iPadがなくても皆のペースについていける。何とかなる」と感じ始めたようです。ただし,対象生徒は,学校場面での困り感は減ったと言ってはいるものの,自分の負担感(帰宅後の過度な疲労)は軽減していないと言うことが,家庭での様子から明らかになりました。通常の学級での学習場面,家庭学習場面ともに支援機器等教材が活用される頻度は少なく,学習効果は限定的であったと言えます。

(注釈2  1つの単語や言葉から思考を派生させながら考えをまとめていくアプリ)
(注釈3  文字や音声を使って単語帳のように1枚のカードに2つの情報を関連付けながら整理するアプリ)

 

表1-2 対象生徒が使用した教材による活用方法及びその学習効果(私立B中学校)

教材選定 教材活用 学校での合理的配慮の提供 学習効果
iPad
カメラ
・ノート作成
・授業中の負担軽減
・活用するタイミングの把握
 ・対象生徒に承諾を得て,一人でiPadを活用できるように,下記のことを行った。

1学期…
指導員が,生徒の側で,iPadを使って板書や掲示物等を撮るタイミングを伝えた。

2学期…
事前にどの授業でどんな時にiPadを出して写真を撮ると良いか,具体的なタイミングを確認し,教員とも共通理解を図った。

3学期…
自分で判断して写真を撮るが,必要に応じて(対象生徒がiPadを出しにくそうにしていたら),教員からの言葉がけも行った。

 ・特定の教科(社会等)について生徒が一人でiPadを活用することが増えた。
・また,教員だけでなくクラスメイトからの言葉がけも行われるようになり,教室でのiPad活用がしやすくなった。

3) 私立C高等学校での実践研究

対象生徒の様子と支援機器等教材の選定・活用(詳細はクリック)
【対象生徒の様子】

・学習の遅れが見られ,漢字については小学3年生程度の習得,アルファベットは未習得であったため,漢字やアルファベットが読めないことから読みづらさを感じることや読み間違いが多く,また理解している語彙数が少ないことから聞き間違いや捉え間違いが多い状況がありました。板書や教科書,配布プリントの漢字が読めないこと,書き写すことへの負担感から,ほぼ全ての授業において居眠りをしていました。

教材選定・活用(表1-3,表1-4参照)

・生徒自身は自分の困難さを理解している様子でしたが,自分に対して特別なことをして欲しくないという気持ちが非常に強く,指導員による支援機器等教材の選定について拒否をしていました。指導員からは,自分の為だけではなく,読み書きに困難をもっている児童生徒や,在籍校の他の生徒の為にもなる(有益である)からであることを伝えた。対象生徒から「自分が他の人の役に立つのであればしてみようと思う」という意思表明があったことから支援機器等教材の選定・活用を開始することが可能になりました。
・読み書きの困難さがあったとしても自分に適した支援機器を使用することで得られる成功体験から,自己肯定感の向上を目的として実践研究を行いました。なお,対象生徒については,2通りのアプローチを行いました。(1)本人が興味を持っていたが,文字が読めないからと諦めていたプログラミング学習の習得,(2)日常生活や学校生活に便利な支援機器等教材の選定を行いました。

教職員やクラスメイト等への理解啓発】

・生徒の所属する高校では,板書が必要な時に,スマートフォンのカメラ機能を用いて黒板を撮影するなど,支援機器等教材を能動的に活用している生徒が既にいたため,支援機器等教材を活用するための環境は整っています。しかし,対象生徒だけは,頑なに支援機器を活用しようとしませんでした。

・私立C高等学校では,支援機器等教材を使用する環境は整っていました。クラスメイトの中には,ノートを写す際にスマートフォンのカメラ機能を活用する生徒も複数いましたが,対象生徒は使用していませんでした。しかし,極度の疲れから授業中すぐに眠ってしまうにも関わらず,それでも読み書きに関しては「他の生徒と同じ普通の方法」にこだわっていました。小学校や中学校での肯定的な評価を周囲から得た経験・独力で「できた」と実感する体験が少ないため,人より目立ってしまうことを否定的に感じ,読み書きに対する支援,クラス内での合理的配慮の提供を望んでいませんでした。

・対象生徒の情動面への介入(心理的ケア)が必要不可欠であるということから,個別での支援・指導・相談を行いました。人のためという視点から支援機器の選定を導入したが,様々なアプリを使用し,対象生徒への認知的介入(支援機器等教材の活用に関する知識・技能の指導)を行ったことで,読み書きに関して「独力で読み書きできた」という体験が蓄積されました。自己肯定感の向上につながると,拒否していたクラスメイトへの介入を拒否するのではなく,むしろクラスメイトに対して便利な支援機器等教材を教えてあげたいという気持ちの変化も表れました。ただし,今年度は,対象生徒へのアプローチが主な実践研究となりましたので,学校での活用には至っていません。

(1) プログラミング学習

まず初めに、文字を使用しないプログラミング教材(レゴ社のWeDo 2.0やMITメディアラボが開発したプログラミング言語Scratch)を使用して、「文字がよくわからなくてもプログラミングができた」という体験を積み重ね,次の段階として,文字を使用するプログラミング学習を開始した(スモールステップ)。

 

表1-3 対象生徒が使用した教材による活用方法及びその学習効果(私立C高等学校)

教材選定 教材活用 学習効果 学校で活用できるか否か
iPhone:文字変換アプリ
ローマ字ロボ4
・ローマ字・入力変換  ・負担感を軽減する支援機器等教材を活用することで,最終的には,独力でできるようになった。
・諦めていたプログラミング学習ができている経験を重ねていくうちに,保守的な態度から,主体的な態度に変化し,自分の意見を述べることも増えた。
 ・学校では,使用する必要がないと述べていた。
iPad
音声読み上げ機能
・手順書等の文章理解  ・学校では,iPadを持っていきたくない。

(注釈4 ひらがなを入力するとローマ字に変換するアプリ)

(2) 日常生活や学校生活に便利な支援機器等教材の選定

対象生徒の特性・状況に応じて,指導員が提案するアプリを練習し,日常生活や学校生活に活用できるか評価をしてもらった。

 

表1-4 対象生徒が使用した教材による活用方法及びその学習効果(私立C高等学校)

教材選定 教材活用 学習効果 活用できるか否か
iPhone:アプリ
無音カメラ

・ノート支援
・板書や教科書の文字拡大
・音が出ないので,授業中に使いやすくなった。 ・学校生活で活用している。
iPhone:アプリ
Googleカレンダー6

・スケジュール管理  ・大学の訪問日,学校行事,提出物(主なもの)をカレンダーに入れる習慣ができたため,予定や提出物を忘れることが減った。
・自分で使いやすいように,1日前,30分前にアラームを予約したり,ホーム画面を当日の予定にしたり,主体的に工夫をしていた。
・日常生活でも学校生活でも活用している。
iPhone:アプリ
Mind Vector7

・思考整理  ・自分のことや意見を文字にする課題が全く出来ず,自分の意見を求められてもすぐに諦める傾向があったが,指導員とのやり取りをしながら,自分の考えを整理することで,最終的には自分の言葉で説明することができた。 ・まだ一人ではできそうにない。日常生活では使えそうにないが,学校の課題では使えるかもしれない。
iPhone:アプリ
もじかめ8

・音声読み上げ  ・便利だと分かっているが,音声が流れるのは恥ずかしいため使用したくない。レポート課題の時に,先生につきっきりにならなくて済むかもしれないとは思った。 ・学校生活で使えそうだが,音声が流れるのは恥ずかしいので使えない。

(注釈5 カメラのシャッター音を消すまたは小さくできるアプリ)

(注釈6 Googleのスケジュール管理アプリ)
(注釈7 カテゴリーごとに色分けができるマインドマッピングを使って思考整理するアプリ)
(注釈8 写真で文章を撮影し、テキストデータ化した文章を音声読み上げするアプリ)

3-2.2019年度の取り組み成果

2018年度より継続して協力いただく3校(公立A小学校・私立B中学校・私立C高等学校)に、公立D小学校を加えた、計4校の研究協力校の対象児童生徒に対して,支援機器等教材の活用による学習効果の分析・評価を行いました。また,教職員だけでなく,障害のない児童生徒に対し,支援機器等教材の活用が合理的配慮及び指導上必要であることを理解してもらう研究も行いました。

1)公立A小学校での実践研究

対象児童の様子と支援機器等教材の選定・活用(詳細はクリック)
 【対象児童の様子】

・学習の遅れは見られないものの,「板書が取れない」「感想文を一人で完成することが難しい」「テストの際,枠内に文字を書くことが難しい」 状況でした。そのため,授業中ぼーっとしていることが多く,教員の言葉がけが頻繁に必要でした。また、昨年度よりiPadを家庭学習で活用しておりますが、学校でiPadを使用することに抵抗があり、学校では使えていない状況でした。

教材選定・活用(表2-1参照)

・読み書きの負担を軽減させ,自分の力で学習を進めることができることを目的として教材選定・活用を行いました。

教職員やクラスメイト等への理解啓発】

・大学専門スタッフによる児童対象のiPad体験型授業を行いました。また本人から自分にとってiPadが必要であることをクラスに説明する機会を設けました。

・公立A小学校では,支援機器等教材アドバイザー(以下,指導員)が,教員の補助(アシスタント・ティーチャー)として学級に入り,対象児の支援機器等教材の活用について支援を行いました。また指導員がいる時には,対象児用だけではなくクラスメイト全員に対してiPadを用意し,学校の協力の下,授業中に対象児童が使って良かったアプリ(ロイロノート)を使用して学習することを促しました。国語や総合的な学習の時間など、数時間にわたり、アプリを使用した授業を実施しました。

・また、朝の会のスピーチの時間を活用して、自身の苦手なことやそれを補うツールとしてのiPadの使用について、自分でクラスメイトに説明することができました。

・その結果,アプリを使用する授業を行い、教職員やクラスメイトが支援機器の活用方法を理解したことで,学校で支援機器が活用できるように,主体的に基礎的環境整備が行われるようになりました。クラスメイトの中では「iPadを使用した方がやりやすい」という児童と「ノートに書いた方がやりやすい」という児童に分かれ、各々によって得意な学習方法は違い、それぞれが自分に合った方法を選択して学習することの必要性をクラスメイトに実感してもらうことができました。

・また、カミングアウトをしたことが大きなきっかけとなり、iPadを学校で使用することへの抵抗感が少なくなり,本人が自らiPadを学級で使うことができるようになりました。

 

表2-1 対象児童が使用した教材による活用方法及びその学習効果(公立A小学校

教材選定 教材活用 学校での合理的配慮の提供 学習効果
iPad:カメラ

 ・ノート作成
 ・授業中の集中継続
・本人が板書を写しきれないと感じたとき、撮影して板書の記録を撮った。 ・書くことの負担が減り,聞くことに集中できるようになったため,対象児童は授業内容や教員からの指示を以前よりも理解できるようになった。
iPad:アプリ
ロイロノート1
・感想文・作文等の作成
・調べ学習の発表資料の作成

(注) 学校で使用する前に,支援機器等教材アドバイザーから使い方を学び,家庭でも練習をし,児童自身が必要性を感じ,一人で活用できるようにしている。

・学校では,大学教員による教職員対象のiPad体験型 研修,及び大学専門スタッフによる児童対象のiPad体験型授業を行なった。

・長い文章を一人で組み立てることが出来るようになり,学校の宿題の感想文や作文を一人で完成させることができるようになった。
・対象児童は,クラスの中でロイロノートを使用することに対して否定的であったが,体験型授業を機に,学校内でも使ってみようという気持ちに変化した。また,対象生徒がクラスメイトに対して教えてあげる場面も多く見られ,自信に繋がった。
スマートウォッチ

 

 ・集中力の保持 ・学習中、集中のメリハリをつけるためにスマートウォッチのアラート機能を活用した。 ・自分だけが気付くことのできる振動アラームをかけることで、集中力を落とすことなく学習に臨むことができた。

(注釈 1 文字や写真などを使ってスライドを作成し繋げたり並び替えたりするアプリ)

2)私立B中学校での実践研究

対象生徒の様子と支援機器等教材の選定・活用(詳細はクリック)
【対象生徒の様子】

・小学5年生の時から支援機器教材等の選定・適用に本学教職員が携わっていました。小学校では,iPad(撮影した写真の拡大),学習補助具(リーディングルーラー)を使用していました。また家庭では,学習支援アプリ(ロイロノート,マインドマップ2,Quizlet3)を活用して学習の定着を図っていました。
・しかし,中学生になり, 生徒自身が,学校で他の生徒と異なる学習方法に違和感を覚え,学校の中で支援機器等教材を使用しない状態が続いていました。iPadを使うタイミングが判断できないため,授業中はノートを写すことに必死になり,説明を聞くことができず理解できないことや,板書を間違えて書き写すことが多く正確な理解には繋がらない状態でした。また,帰宅後は疲れて何もできなくなるといった状況も続いていました。

教材選定・活用(表2-1参照)

・板書や教科書,配布プリントの見えにくさ,書くことへの負担感による学習意欲の低下(学習性無気力)を改善することを目的として実践研究を行いました。

教職員やクラスメイト等への理解啓発】

・中学入学時に,対象生徒が,教員および所属学年全体に対して,中学校に進学後も継続して支援機器等教材が使えるように,iPadの使用が自分にとって合理的配慮であり,使用することは権利であることを説明しました。

・私立B中学校では,対象生徒も保護者も,学校の教員も,対象生徒に読み書きがあることや,認知特性に応じてiPadを活用することが必要であることは理解していました。新学期に自ら学年全体の生徒に対して,iPad等の支援機器等教材の使用について理解と合意を得ることができ,対象生徒に対してiPadを使用することに否定的な反応をする生徒はいませんでした。しかし,自分にとって支援機器等教材の活用が必要であることは理解しているものの,中学で環境が大きく変わったこと(新しいクラスメイト,教科担任制など)で,どういうタイミングで使用すれば良いのか分からなくなっていました。指導員が学級に入り,対象生徒の支援機器等教材の活用について支援を行い,最終的には生徒一人でiPadを活用する機会が増えました。主体的に判断できていない場面が多く,授業場面での活用には人的支援が必要であったと言えます。

・更に,学校では,学内全体に対して,読み書きの負担を軽減するための基礎的環境整備(書く量を調整する,授業で使用した情報をデータや印刷して生徒に渡す等)が整えられました。そのため,対象生徒自身がiPadを活用する機会が減り,「iPadがなくても皆のペースについていける。何とかなる」と感じ始めたようです。ただし,対象生徒は,学校場面での困り感は減ったと言ってはいるものの,自分の負担感(帰宅後の過度な疲労)は軽減していないと言うことが,家庭での様子から明らかになりました。

・今年度は、家庭学習での支援機器等使用の拡充と学級で使用しやすい支援機器等の検討に重きをおいて取り組みました。
対象生徒は、定期試験後の課題である「訂正ノート」において、間違えた問題文とその解答を書き写すことに負担を感じていました。そこで、書くのではなくiPadを使用してその課題を遂行することで、負担軽減を図りました。また、作文課題では、一度iPadで下書きをしてから作文用紙に書き写す方法を取ることで、正確な漢字の使用頻度の増加と、自分で想起して書くことから試写することでの負担軽減を図りました。
・学級で使用しやすい支援機器等検討として、アプリ(無音カメラ)の使用、目立たない薄いiPadのカバーへの変更、デジタルカメラ(CASIO EX-FR1059)の試用を実施しました。その結果、デジタルカメラが最も目立たず、本人にとって抵抗感が薄いということが分かりました。ただし、現在「頑張れば自分でノートを書ける」と感じ始めていることから、本人の中では、アクションカメラを使う必要性があまり感じられておらず、日常的な使用には至っていない状況です。
・また、配布プリントの見えにくさを軽減するため、FIAT-LDの一対比較法を実施し、本人にとって読みやすいフォントや文字サイズ、行間などを調べ、その結果を学校と共有して、日々の教材作成に活かしていただきました。

(注釈5  カメラのシャッター音を消すまたは小さくできるアプリ)

(注釈9  カメラとコントローラーが分離しており,アプリを通して写真を端末と共有できるカメラ)

 

表2-2 対象生徒が使用した教材による活用方法及びその学習効果(私立B中学校) 

教材選定 教材活用 学校での合理的配慮の提供 学習効果
iPad:アプリ
無音カメラ
 ・ノート記録
 ・授業中の過度な負担軽減
・活用するタイミングの把握
・対象生徒に承諾を得て、一人でiPadを活用できるように指導員が生徒の側でiPadを使って板書や掲示物等を撮るタイミングを伝えた。 ・特定の教科(社会等)について生徒が一人でiPadを活用することが増えた。また教員だけでなくクラスメイトからの言葉がけも行われるようになり、教室でのiPadの使用がしやすくなった。
デジタルカメラ:CASIO EX-FR109

 

 ・ノート記録
・授業中の過度な負担軽減
・なるべく抵抗感なく学級で使える機器の検討

(注) 学校で使用する前に,支援機器等教材アドバイザーから使い方を学び,家庭でも練習をし,児童自身が必要性を感じ,一人で活用できるようにしている。

・対象生徒と学級担任、教科担任に承諾を得て、授業中にアクションカメラを使って板書を撮った。

・学級で使用するにあたり、iPadに比べてアクションカメラの方が本人にとって抵抗感が薄いということがわかった。
・ただし、現在「頑張れば自分でノートを書ける」と感じ始めていることから本人の中ではアクションカメラを使う必要性があまり感じられておらず、日常的な使用には至っていない。
FIAT-LD
一対比較法
 ・対象生徒が読みやすい教材の選定のための検査 ・対象生徒にとって読みやすい文字のフォント、サイズ、行間を検討。その結果を学校を共有し、日常の教材作成に反映してもらった。 ・学校で配布されるプリントの読みにくさが軽減された。

(注釈5 カメラのシャッター音を消すまたは小さくできるアプリ)

(注釈9 カメラとコントローラーが分離しており,アプリを通して写真を端末と共有できるカメラ)

3)私立C高等学校での実践研究

対象生徒の様子と支援機器等教材の選定・活用(詳細はクリック)
【対象生徒の様子】

・学習の遅れが見られ,漢字は小学3年生程度の習得であり,アルファベットの読みは大文字が半数以下の習得である。また正しく理解している語彙数が少ないことから聞き間違いや捉え間違いも多くありました。板書や教科書,配布プリントの漢字が読めないこと,読んでも文章理解につながらないことへの負担感から,ほぼ全ての授業において居眠りをしていました。また,興味関心のあることは上手に説明することができますが,自分のこと(長所・短所,将来について等)や自分の考えを説明することが非常に苦手で,質疑応答しながらの個別対応が必要でした。自分からしたいことを伝えることが苦手なことを理解しており,意思表示を諦め,他者の意見に合わせる状況が多くありました。

教材選定・活用(表2-3参照)

・読み書きの困難さがあったとしても自分に適した支援機器を使用することで得られる成功体験から,自己肯定感の向上を目的として実践研究を行いました。

教職員やクラスメイト等への理解啓発】

・在籍校では,板書が必要な時に,スマートフォンのカメラ機能を用いて黒板を撮影するなど,支援機器等教材を能動的に活用している生徒が既にいたため,支援機器等教材を活用するための環境は整っています。しかし,対象生徒だけは「他の生徒と同じ普通の方法」にこだわり,頑なに支援機器を活用しようとしませんでした。小学校や中学校での肯定的な評価を周囲から得た経験・独力で「できた」と実感する体験が少ないため,人より目立ってしまうことを否定的に感じ,読み書きに対する支援,クラス内での合理的配慮の提供を望んでいませんでした。

・私立C高等学校では,支援機器等教材アドバイザー(以下,指導員)による学校での支援は行いませんでした。
対象生徒の情動面への介入(心理的ケア)が必要不可欠であるということから,個別での支援・指導・相談を行いました。

・最初に,指導員から対象生徒に実践研究の目的を説明しました。対象生徒自身が何のために実践研究をするのか理解した上で,自己決定してもらいました。対象生徒から,自分のためだけでなく,読み書きに困難をもっている児童生徒や,在籍校の他の生徒の為にもなる(有益である)支援機器等教材の選定・活用の紹介に挑戦してみたいと意思表明がありました。
そこで,パソコンを用いて,日常生活や学校場面で便利なアプリの紹介動画(Filmore911)を2本作成しました。パソコンを使用する際は,音声入力で文字が打てるよう設定変更しました。また,文字を訂正する際,一人でキーボードが打てるように,キーボードに大文字小文字キーボードシールラベル1を貼りました。

・1本目は,対象生徒が保護者や友人とのメールのやり取りの際に日常的に活用しているアプリ(Simeji10)について,日常生活で使えるアプリとして紹介動画を作成しました。
・2本目を作成する前に,在籍校の特別支援教育コーディネーターから,綺麗に枠内に書くことにこだわりがあることで苦しんでいる他の生徒の為に何か良いアプリはないかと質問を受けたため,指導員が様々なアプリを提案しました。2本目は,その中から対象生徒が勧めるアプリ(ロイロノート1)について,学校生活で使えるアプリとして紹介動画を作成しました。
・作成した動画については,大学教員や保護者,指導員に対して作成した紹介動画をスクリーンを使って発表する機会を持ちました。また,作成した紹介動画を在籍校の教職員へ見せる機会を持ちました。
人のためという視点から支援機器の選定・活用を導入しましたが,読み書きに関して「独力で読み書きできた」という体験が蓄積されたことにより,自己肯定感の向上につながり,対象生徒の能動的な行動が増えました。
・例えば,毎回の活動予定日を指導員からではなく,自分からGoogleカレンダー6に予定や予定のアラームを入力するようになりました。
また自分から指導員に対して,就職のための志望動機を作成するのにアプリMind Vector7を使うと良いのは分かっているが,一人では出来そうにないので手伝って欲しいと相談がありました。質疑応答した内容をアプリに入力し,まとめたものを見ながら一人で志望動機を完成させることが出来ました。

・更に,担任や保護者に対しても自分の考えを伝えられるようになりました。本当は進学をして,アニメやゲーム制作に関わる技術を学びたかったようですが,授業やテスト等の読み書きの負担感に向き合う自信がなく,就職のために動いてくれている担任や保護者に対して自分の考えの伝え方が分からないため,進学を諦めていました。しかし,この実践研究を通して,自分から担任や保護者に対して,就職ではなく進学を希望する気持ちを打ち明けることが出来ました。

 

表2-3 対象生徒が使用した教材による活用方法及びその学習効果(私立C高等学校) 

教材選定 教材活用 学習効果 活用できるか否か
iPhone:アプリ
無音カメラ

・ノート支援
・板書や教科書の文字拡大
・音が出ないので,授業中に使いやすくなった。 ・学校生活で活用している。
iPhone:アプリ
Googleカレンダー6

・スケジュール管理  ・大学の訪問日,学校行事,提出物(主なもの)をカレンダーに入れる習慣ができたため,予定や提出物を忘れることが減った。
・自分で使いやすいように,1日前,30分前にアラームを予約したり,ホーム画面を当日の予定にしたり,主体的に工夫をしていた。
・日常生活でも学校生活でも活用している。
iPhone:アプリ
Mind Vector7

・思考整理  ・自分のことや意見を文字にする課題が全く出来ず,自分の意見を求められてもすぐに諦める傾向があったが,指導員とのやり取りをしながら,自分の考えを整理することで,最終的には自分の言葉で説明することができた。 ・まだ一人ではできそうにない。日常生活では使えそうにないが,学校の課題では使えるかもしれない。
iPad:アプリ

ロイロノート1

 

・思考整理

・課題プリントの作成
・課題プリントへの書き込みをiPadでのキーボード入力やタッチペン入力で行った。
・学校生活では活用していないが,書くことの負担軽減の方法を知った。
iPhone:アプリ
Shimej10

・メールのやり取り
・文章作成の補助
・定型文の活用
家族や友人とメールで連絡し合う際に,言葉の表現の仕方に困ることがなくなった。
・日常生活で活用している。
PC:大文字小文字キーボードラベル

 

・キーボードに小文字を追加することで、文章記述の際の手がかりとする
・読めないアルファベットの大文字が多かったのでパソコンを使えなかったが,小文字表記が追加されたため,一人で文字を打つことができた。
日常生活で活用している。

(注釈6 Googleのスケジュール管理アプリ)
(注釈10  多様な日本語入力,変換機能のあるアプリ)
(注釈7 カテゴリーごとに色分けをしてマインドマップができるアプリ)
(注釈1  文字や写真などを使ってスライドを作成し繋げて思考を構造化し整理するアプリ)
(注釈11 動画を編集するソフト無料版)

4)公立D小学校での実践研究

対象児童①の様子と支援機器等教材の選定・活用(詳細はクリック)
 【対象児童①の様子】

・書くことの負担が特に強く、授業中にノートをとることができず、授業の記録ができていません。
・漢字を覚えることが苦手で、文章はほとんど仮名で書いています。
・漢字を覚えることが苦手で、文章はほとんど仮名で書いています。助詞の平仮名を間違えることもあります(”〜は”を”〜わ”と書く)感想文などの長い文章を書くことが苦手で、同じ内容を繰り返し書いてしまうことがあります。
・また、他の児童と違うことをする、支援機器を学級で使うことに非常に抵抗感が強い様子がありました。

教材選定・活用(表2-4参照)

・書きの負担を軽減させ,自分の力で学習を進めることができることを目的として教材選定・活用を行いました。

教職員やクラスメイト等への理解啓発】

・大学専門スタッフによる児童対象のiPad体験型授業を行いました。

・公立D小学校では,支援機器等教材アドバイザー(以下,指導員)が,教員の補助(アシスタント・ティーチャー)として学級に入り,対象児の支援機器等教材の活用について支援を行いました。また指導員がいる時には,対象児用だけではなくクラスメイト全員に対してiPadを用意し,学校の協力の下,アプリ(ロイロノート1)を使用して学習することを促しました。
・その結果,教職員やクラスメイトが支援機器の活用方法理解したことで,教職員間の同意が得られ,学校で支援機器が活用できるように,主体的に基礎的環境整備が行われるようになりました。
・しかし、対象児童は、周囲と違うことをするということへの抵抗感が非常に強く、家庭学習においても支援機器等を使って学習をしたのではないかとクラスメイトに気付かれる可能性のある方法は取りたくないという気持ちがありました。そのため、支援機器等の日常的な使用には至っておらず、学習効果は限定的であるといえます。しかし、表のような支援機器等を使用した学習方法の方が楽だという実感を得ることはできました。

注釈1 文字や写真などを使ってスライドを作成し繋げて思考を構造化し整理するアプリ)

 

表2-4 対象生徒が使用した教材による活用方法及びその学習効果(私立B中学校) 

教材選定 教材活用 学校での合理的配慮の提供 学習効果
iPad:カメラ

 ・ノート作成
 ・授業中の集中継続
・学級にて教員または日直の児童が教室に常駐しているiPadで板書を撮影する。 ・授業の記録をとれるようになり、自宅でも授業の復習ができるようになった。
iPad:アプリ
ロイロノート1
 ・感想文・作文等の作成
・課題プリントの作成

(注) 学校で使用する前に,支援機器等教材アドバイザーから使い方を学び,家庭でも練習をし,児童自身が必要性を感じ,一人で活用できるようにしている。

・学校では,大学教員による教職員対象のiPad体験型 研修,及び大学専門スタッフによる児童対象のiPad体験型授業を行なった。

・家庭学習にて課題プリントへの書き込みをiPad上でキーボード入力や音声入力で行えるよう、大学専門スタッフとその方法を練習した。

・長い文章を一人で組み立てることが出来るようになり,同じ内容を同じ作文内で繰り返し書くことを防ぐことができた。
・また,対象児童は,ロイロノートを使用することに対して否定的であったが,体験型授業を機に,家庭でも使ってみようという気持ちに変化した。また,対象生徒がクラスメイトに対して教えてあげる場面も多く見られ,自信に繋がった。
・キーボード入力や音声入力で書く課題の負担を軽減する方法を知った。支援機器等を使用した学習方法の方が楽だという実感を得た。
iPad:アプリ
Googleフォト12
 ・写真の共有 ・学級のiPadで撮影した板書の写真を、対象児童の自宅のiPadと共有する。よって、対象児童が自宅でも授業の記録を閲覧できるようになる。 ・授業の記録を見返せるようになり、自宅でも授業の復習ができるようになった。

(注釈1  文字や写真などを使ってスライドを作成し繋げて思考を構造化し整理するアプリ)

(注釈12  写真を端末同士で共有するアプリ)

対象児童②の様子と支援機器等教材の選定・活用(詳細はクリック)
 【対象児童②の様子】

・読むことは得意ですが、漢字を覚えることが苦手で、書き間違いが多かったり、平仮名だけで書く様子があります。
・授業中ぼーっとしていることや忘れ物が多くあります。好きなことには過度に集中してしまう(何時間も集中してしまいトイレを忘れる)ことがあります。書くことの負担が特に強く、授業中にノートをとることができず、授業の記録ができていません。

教材選定・活用(表2-5参照)

・書きの負担を軽減させ,自分の力で学習を進めることができることを目的として教材選定・活用を行いました。

教職員やクラスメイト等への理解啓発】

・大学専門スタッフによる児童対象のiPad体験型授業を行いました。

・公立D小学校では,支援機器等教材アドバイザー(以下,指導員)が,教員の補助(アシスタント・ティーチャー)として学級に入り,対象児の支援機器等教材の活用について支援を行いました。また指導員がいる時には,対象児用だけではなくクラスメイト全員に対してiPadを用意し,学校の協力の下,アプリ(ロイロノート)を使用して学習することを促しました。
その結果,教職員やクラスメイトが支援機器の活用方法理解したことで,教職員間の同意が得られ,学校で支援機器が活用できるように,主体的に基礎的環境整備が行われるようになりました。
・また、対象児童の学級で課されている日記の宿題について、大人と児童がやりとりをして、大人がまとめているという様子がありました。自分の力で学習を進められるようになることを目指し、アプリ(瞬間日記)を使用して日記の執筆を行うことで、自分で日記を作成して提出することができるようになりました。他にも、アプリ(ロイロノート)を使用した、課題プリントの作成を大学専門スタッフとの練習で習得しており、卒業後中学生になって、宿題の負担が大きくなったら使用してみたいという気持ちが芽生えています。
・また、生活上の困り感として、忘れ物や集中力のムラがありました。それについて、Apple Watchのアラート機能を使い、集中力の保持や忘れ物防止に寄与することができました。

 

表2-4 対象生徒が使用した教材による活用方法及びその学習効果(私立B中学校)

教材選定 教材活用 学校での合理的配慮の提供 学習効果
iPad:アプリ
瞬間日記13
 ・課題である日記の作成 ・学級で課されている日記の課題を音声入力を活用してアプリに記述し、その画面を印刷して教師に提出する方法を確立しました。 ・書く負担を軽減することができた。また、予測変換機能により漢字を正しく使用することができた。
・また文章中に漢字を使用する頻度も増加した。
iPad:アプリ
ロイロノート1
 ・感想文・作文等の作成
・課題プリントの作成

(注) 学校で使用する前に,支援機器等教材アドバイザーから使い方を学び,家庭でも練習をし,児童自身が必要性を感じ,一人で活用できるようにしている。

・学校では,大学教員による教職員対象のiPad体験型 研修,及び大学専門スタッフによる児童対象のiPad体験型授業を行なった。

・家庭学習にて課題プリントへの書き込みをiPad上でキーボード入力や音声入力で行えるよう、大学専門スタッフとその方法を練習した。

・予測変換機能により、漢字を正しく使用することができた。また、漢字を使用する頻度も増加した。

・キーボード入力や音声入力で書く課題の負担を軽減する方法を知った。支援機器等を使用した学習方法の方が楽だという実感を得た。

Apple Watch:アラーム 14

 

 

 ・授業中の集中力保持
・忘れ物や過集中を防ぐスケジュール管理
・学校では授業中、集中のメリハリをつけるためにアラート機能を使用した。

・家庭では、過集中によるトイレ忘れを防止するために予めアラームをかけておいた。また「宿題やった?」などのアラームをかけ、宿題忘れ防止を図った。

・授業に自分だけ気付くことができる振動アラームをかけることで集中力を落とすことなく授業に臨むことができた。

・アラームにより、時間の経過に気付くことができ、トイレ忘れがなくなった。また、忘れてしまうことをアラート機能でお知らせしてもらい、忘れ物防止を図った。

(注釈1  文字や写真などを使ってスライドを作成し繋げて思考を構造化し整理するアプリ)

(注釈13  文字や写真を使って日記を書くアプリ)

(注釈14  設定した時間に端末が振動し知らせる)

 

 

 

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