学習上の支援機器等活用評価研究事業

2.FIAT-LDとは

愛媛大学教育学部では,2017年度より本事業を受託し,小中学校の通常の学級,及び高等学校において,発達障害等の疑いがある児童生徒が学習上の支援機器等教材を活用する際,支援機器等を選定・適用する上で必要となる評価指標(愛媛大学版読み書き困難のある児童生徒への教材選定・適用時に必要な評価指標: Fitting Index of Assistive Technologies for children with LD,FIAT-LD)を策定しました。

 

2.1 FIAT-LD Trial3(2019年度版)

2019年度は、通常の学級においてより簡便に実施でき、実践につながる「FIAT-LD 第3版」(以下,FIAT-LD Trial3)を開発しました。FIAT-LD Trial3は、アンケート形式のチェックシートと、支援対象の児童生徒に個別実施する一対比較法加えて、読み書き困難のある児童生徒が所属する学級における具体的な支援を検討するためのフローチャート方式のシートを追加いたしました。

FIAT-LD Trial3はクラス全員を対象とした(A)学習場面での読み書き能力・状況の把握チェックリストの指標(以下,チェックリスト指標)と,個人を対象とした(B-1)通常学級において読み書き困難のある児童生徒の具体的支援を検討するための指標(以下,フローチャート指標)によって構成されています。
フローチャート指標の項目の一つに、昨年度開発した(B-2)一対比較法を援用した教材の選定・適用時の指標(以下,一対比較指標)が含まれています。

(A)チェックリスト指標

チェックリスト指標とは?

児童生徒の実態を把握することや,「読み書き困難がある児童生徒が担当する学級にいる かもしれな い」という教職員の意識・気づきを持つきっかけを作ることを目的としています。

FIAT-LD Trial3は,授業中に見られる児童生徒の反応・行動について,読むこと(27項目)・書くこと(28項目)の合計55項目から構成されています。
また,
各項目内容は,(1)クラスメイトと比べて評価する項目,(2)教科や場面による違いを評価する項目,(3)児童生徒自身の様子を評価する項目に大別されています。

注)チェックリストで挙げている項目内容は,医学的に診断されているわけではありませんが,読み書きの困難さがある児童生徒のエピソードや,読み書き困難があった人の回顧録を参照にしながら作成しました。なお,これらの項目にチェックが入る数と「読み書き困難あり」の判断との関係は検証されておりません。

(B-1)フローチャート指標

フローチャート指標とは?

チェックリスト指標で抽出された読み書きに困り感のある児童生徒について、在籍する学級における適切な支援は何か、具体的に検討していくことを目的としています。

読み支援のフローチャート、書き支援のフローチャートがあり、それぞれ⑴環境調整、⑵クラス全体での工夫(教材の工夫)、⑶クラス全体での工夫(授業の進め方の工夫)、⑷個別支援(個人での工夫)、⑸個別支援(一対比較指標による個別メニューの作成)、⑹個別支援(読み・書きの代替手段)の合計6項目から構成されています。

⑴環境調整から進み、項目にある工夫で、対象児童生徒の学習の様子が改善されない場合は、矢印に沿って次の項目へ進みます。

このようにして、対象児童生徒がより困難なく学習ができる工夫を検討していきます。

注)フローチャートで挙げている項目内容は,医学的に診断されているわけではありませんが,読み書きの困難さがある児童生徒のエピソードや,読み書き困難があった人の回顧録を参照にしながら作成しました。

(B-2)一対比較指標

一対比較指標とは?

一対比較指標は,読むことに関する教材教具の工夫の比較9項目(文字のサイズ,文字の量,行間等),書くことに関する教材教具の工夫の比較4項目(筆記用具の種類,用紙のデザイン等)の合計13項目から構成されています。

教材の選定は,一対比較法を援用して実施しました。条件が異なる2つの教材を対にして提示し,どちらが読みやすいか,書きやすいか,5段階評価で選択するよう求めました。なお,どちらも同程度であり,一方を選択できない場合は,「どちらともいえない」と回答するよう教示しました。

 

2.2 FIAT-LD Trial2(2018度版)

1版は個別実施による知能検査等を基盤としており,通常の学級における教育実践の中で行うためには大幅な改良が必要でした。そこで,2018年度には,教育現場での実践的な活用を目的として,第1版を改良して,「FIAT-LD 第2版」(以下,FIAT-LD Trial2)を開発しました。

FIAT-LD Trial2は,クラス全員を対象とした(A)学習場面での読み書き能力・状況の把握チェックリストの指標(以下,チェックリスト指標)と,個人を対象とした(B)一対比較法を援用した教材の選定・適用時の指標(以下,一対比較指標)によって構成されています。

(A)チェックリスト指標

チェックリスト指標とは?

児童生徒の実態を把握することや,「読み書き困難がある児童生徒が担当する学級にいるかもしれない」という教職員の意識・気づきを持つきっかけを作ることを目的としています。

FIAT-LD Trial2は,授業中に見られる児童生徒の反応・行動について,読むこと(27項目)・書くこと(28項目)の合計55項目から構成されています。
また,
各項目内容は,(1)クラスメイトと比べて評価する項目,(2)教科や場面による違いを評価する項目,(3)児童生徒自身の様子を評価する項目に大別されています。

注)チェックリストで挙げている項目内容は,医学的に診断されているわけではありませんが,読み書きの困難さがある児童生徒のエピソードや,読み書き困難があった人の回顧録を参照にしながら作成しました。なお,これらの項目にチェックが入る数と「読み書き困難あり」の判断との関係は検証されておりません。

(B)一対比較指標

一対比較指標とは?

一対比較指標は,読むことに関する教材教具の工夫の比較9項目(文字のサイズ,文字の量,行間等),書くことに関する教材教具の工夫の比較4項目(筆記用具の種類,用紙のデザイン等)の合計13項目から構成されています。教材の選定は,一対比較法を援用して実施しました。条件が異なる2つの教材を対にして提示し,どちらが読みやすいか,書きやすいか,5段階評価で選択するよう求めました。なお,どちらも同程度であり,一方を選択できない場合は,「どちらともいえない」と回答するよう教示しました。

 

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