愛媛大学教育学部は,平成29~30年度に,文部科学省から事業受託し,「発達障害の可能性のある児童生徒に対する教科指導法研究事業」に取り組んで参りました。
本邦において、公立小中学校の通常の学級には、学習面又は行動面で著しい困難を示す児童生徒が6.5%程度、その中でも特に、学習面で著しい困難を示す児童生徒が4.5%程度在籍していることが、文部科学省の調査で明らかになっています。そうした中で、診断・判断こそ出ていないものの、各教科の学習につまずきを感じる児童生徒はその対象外と誤解され、適切な指導・支援を受けられない事態も起こっています。ゆえに、それらのつまずき体験から、肯定的結果を生み出す学習を自らが実行できるという予期(効力予期・自己効力感)が低下してしまう子どもも生まれています。
このように教科の学習において「学習性無気力」状態にある児童生徒には、どのような学習が肯定的な結果(教科に関する高い習熟度)につながるかという、結果予期を高める指導をしても十分ではありません。言い換えれば、教科の学習において肯定的結果を生み出す学習を自らが実行できる(実行してもよい)という効力予期を高める支援・指導(以下では、「志」を導く関わりという意味で「志導」とする)が必要となるのです。
上記のことから、本学では、教員養成課程等において「教科の学習上のつまずくポイントに対する指導」として、指導上の技法、教材教具の工夫だけではなく、学習上のつまずきのある児童生徒に対して「志導」ができる教員を養成するための教授法を開発することが喫緊の課題と考え、本事業を提案するに至りました。
事業代表者 愛媛大学教育学部 准教授 苅田知則